東芝がアメリカの原発で巨額な赤字損失になったその理由をわかりやすく説明

東芝が危機に立たされています。
この記事では、東芝がなぜ巨額なアメリカ原子力発電所の損失を負うことになったのか?をわかりやすく記載したいと存じます。

日本の大手重電3社のひとつでもある東芝は、110年を超える伝統を誇る優良企業でした。

しかし、2015年の不正会計問題(粉飾決算事件)で、過去7年間で1500億円を超える利益の水増しを行っていたことが発覚します。
ライブドアの粉飾は54億円でしたので、この1500億円と言う数字がとてつもないと、おわかり頂けるかと存じます。
赤字をごまかすために粉飾していたとみられることから、発覚翌日には社長が辞任する事態となり、その後、1万4000任規模の人員削減(リストラ)も行われました。
医療機器関連は6655億円にてキヤノンに売却、冷蔵庫・洗濯機・エアコンなどの家電部門は中国企業に売却するなどして資金を集め、債務超過は免れています。
携帯電話部門は、それ以前に富士通に売却済であり、その結果、東芝に残された主な事業は「原子力発電」「ストレージ事業」「鉄道やエレベーター事業」、赤字の「テレビ」「パソコン事業」などに縮小されています。

そして、2016年3月の決算では、銀行などを除く日本の事業会社では、過去最大となる7191億円の営業赤字と、東芝として過去最悪となる4832億円の最終赤字になった訳です。

この東芝が赤字になっている大きな原因は、アメリカの子会社で原子力発電所のメーカーであ「ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)」が原因です。
2006年10月に、東芝は6400億円にてウェスチングハウスを買収していました。
その後、2011年3月に東日本大震災となります。
そして、2015年7月の不正会計問題からの再出発をした東芝は、2030年までに45基の原発建設を受注目標にして達成可能と話してきました。
その時には、アメリカの子会社であるウェスチングハウスが、インドに原発を6基建設する話も合意となっていたのです。
ちなみに、インドの場合、法律で原発事故の責任は建設した会社にあり、建設した会社が賠償すると言う事になっています。

しかし、ウェスチングハウスが巨額の損失があることが2015年11月にわかります。
それにも関わらず、アメリカの原子炉4基の建設工事を手掛けているアメリカの原子力発電所建設会社である「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)」を、2015年11月にウェスチングハウスが買収しました。
信じられませんが、買収額は0ドル(無料)だったと言いますので、すでに債務超過に陥っていたとみられますが、東芝は100億円程度の債務と見ていたようです。

そうしたら、今度は、このS&Wが建設中である2地区4基の原発が、想定よりお金がかかることが判明したのです。

東芝は原発損失について、当初は金融機関に1000億~5000億円と説明し、融資をを要請していました。

しかし、2017年1月19日のニュース報道では、ここにて米国の原発事業をめぐる損失が、最大で7000億円を超える可能性が出ていると報道されています。
2016年末月の時点で東芝の自己資本は約3200億円と推定され、事業の柱でもある主力の半導体事業を、分社化したうえで他社に出資を求め、他にも資産を売却することで、3000億円をねん出する予定となりました。
ただし、それでも債務超過となるため、改めて銀行に融資を求める訳ですが、地方銀行が難色を示しています。
今のところ、三井住友、みずほ、三井住友信託の主力銀行は、追加の融資を行う予定です。

なお、すでに銀行が東芝に融資している残高は8000億円にものぼっています。
シャープの融資残高は約5000億円と推定されますので、事態は、シャープより深刻とも言え、上場廃止さえあり得る状況です。
もし、銀行が融資を断るような事態となれば、倒産と言う二文字も見えてくるわけです。

今のところは、破たんすることなく、融資を受けて再建に向けてまた再出発できそうですが、当然、銀行はさらなる人員削減を条件に融資する訳です。
一生懸命働いている社員さんなどの事を考えますと、経営陣には、本当に頑張って頂きたいものです。

(参考)
日本経済新聞、朝日新聞、産経新聞、読売新聞、東京新聞