エンジンオイルの知識 オイルの粘度とベースオイル

 エンジンオイルはエンジンがかかっている時、常にエンジン内を循環しています。
 エンジンの役割を支えている縁の下の力持ちなのが、エンジンオイルなのですが、エンジンオイルが無ければエンジンが壊れてしまうし、汚れていればエンジンに負担をかけてしまいます。
 その為、自動車を長く使えるようにするためにも、エンジンオイルの定期的な交換は必ず必要なのです。

 通常であれば、ディーラーなどでの6ヶ月点検や12ヶ月点検・車検の際に、オイル交換作業が行われ、その費用が請求されます。
 でも、結構な金額する場合があるんですね。安い、メーカー純正オイルなのに・・。まぁ、ディーラーもオイル交換は利益率が良いので、勧めてきますしね。

 自分でオイル交換できれば、安く済みますよと言う話を行う前に、エンジンオイルの規格や種類をご案内したいと存じます。

■ オイルの粘度(オイルの硬さ)
 
 エンジンオイルのは粘度(粘り気)があるのですが、その粘度は使用している車に搭載されている「エンジン」に適合するかが重要となります。
 最近のエコ型エンジンでは、0W-20 と言う粘度の使用が推奨されている場合が多いです。
 自動車の取扱説明書には、その推奨油脂が必ず掲載されていますので、是非、ご確認ください。
 エンジンに適合しない粘度のオイルを使用すると、エンジン故障などの原因になる場合があります。

 例えば 0W-20  左側の 0W は、低粘度の数値で、この数字が小さければ小さいほど外気温が低い時に、オイルは柔らかい為「寒さに強い」「エンジンの始動性がよい」「燃焼効率がいい」など特徴を得られます。この数字が小さいほど冬向きなエンジンオイルです。この W はWinter(冬)の略で、前半の数字は10、5、0と小さくなるにつれ低温で固まりにくい特性を持っています。0Wは零下35度、5Wは零下30度、10Wは零下25度まで使用可能と言う意味になります。

 右側の 20 は、高粘度の数値で、高温時(100℃)における粘度を表します。数字が高くなるほどオイルが固くなることを示しており、この数字が大きければ大きいほど高温時に硬く「熱に強い」「高速走行、スポーツ走行に適する」「耐摩耗性に優れる」など特徴が上げられます。この数字が大きいほど、夏向きなエンジンオイルと言えるのです。
 5W-30 と 0W-20 で比較しますと、 5W-30 よりも 0W-20 はサラサラしたオイルなので、走行時のエンジンへの抵抗が弱く、エンジンが良く回転しやすい = 燃費が良い と言えるのです。

 簡単な話、エンジンが 5W-30 と 0W-20 の両方に適合している場合、夏場は 5W-30 で、冬場は 0W-20 がオススメとも言えます。
 ※0W-20推奨粘度のお車でも夏場及び、走行距離が5万kmを超えた自動車では、オイル漏れ・にじみを未然に防止する為、5W-20、5W-30などの粘度のオイルをオススメします。

■ベースオイルを選ぶ

 エンジンオイルにはベースオイル(基油)があり、大きく分けると「鉱油系」「部分合成油」「100%合成油」と3種類に分類されます。
 エンジンオイルはベースオイルに添加剤が配合されています。添加剤は熱に弱く、寿命も短い為、長期間の使用や、高温使用後はベースオイルの性能により、添加剤の性能維持が図られます。

 ★100%化学合成油

 最も性能が良いベースオイルとして使われているオイルで、潤滑油として使う為に最適な配合で、科学的にオイル分子を合成した高級オイルになります。
 このベースオイルだけでも潤滑油として優れた性質を持っており、化学的に安定しており劣化しにくく、高温でも油膜が強く、低温でも滑らかで、洗浄作用も高い為、エンジンへの負担も軽くなります。
 価格が高いのが欠点ですが、ターボ車やスポーツ思考の方、車を大切にしたい方にオススメのエンジンオイルです。

 ★鉱物油

 自然界から採れる原油を分留させてできた重質油を減圧蒸留して、不要成分や有害成分を取り除いて作られたオイルで、一般の走行(街乗りや通常の高速道路での走行)には、問題なく使用でき、一番低価格です。
 ただし、原油の原産地によってオイル性能が大きく左右されますが、オイル缶を見ても原産地までの表示は無いのが実情です。 
 熱に対してはあまり強くなく、酸化も早く劣化しやすいですが、自動車製造メーカーの純正油はこの鉱物油で、ディーラーでオイル交換する場合にも基本的にはこの鉱物油が使われます。

 ★部分合成油

 化学合成油の長所を生かしながらコストを抑えた種類のエンジンオイルで、レースでもしない限りその性能は限りなく化学合成油に近い高性能を発揮します。
 基本的には鉱物油の性能をアップさせる為に、化学合成油を鉱物油と混合させたオイルですが、ブレンドの仕方によって性能が大きく異なります。
 
 ★水素化分解油

 最近、発売され始めた新しいベースオイルの分類で、鉱物油を精製する過程で水素を加えて、不純物を水素で分解させて除去したオイルです。
 分類上は、鉱物油なのですが、優れたベースオイルである化学合成油にとても似ている性質を持っている為、化学合成油に近いと言う事でセミシンセティック(部分合成油)と表示されることもあります。